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2011.09.22 *Thu*

【小説】三浦綾子「氷点」


氷点 (上) (角川文庫 (5025))氷点 (上) (角川文庫 (5025))
(1982/01)
三浦 綾子

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(あらすじ)
辻口は妻への屈折した憎しみと、「汝の敵を愛せよ」という教えの挑戦とで殺人犯の娘を養女にした。明るく素直な少女に育っていく陽子…。人間にとって原罪とは何かを追求した不朽の名作!

おすすめ度★★★★
高校生の頃に読んで少しだけ僕の人生観に影響を受けた作品。
十数年ぶりに再読しました。キリスト教の概念である「原罪」が重要なテーマとして
物語の背景にあり、「続・氷点」では「罪のゆるし」がテーマとなっています。
嫉妬心、憎み、怒りといった人間の弱さをどう乗り越え、どう赦すのか。
「汝の敵を愛せよ」をいかにして成しえるのか。
1964年から連載開始された作品で、女性の社会的な立場、生き方は現在
と変わっていますが、それ以外はさほど古さを感じず、人間心理は普遍だと
改めて思いました。

高校生の頃に読んだ時は、村井も啓造も夏枝もとんでもない奴だと思っていたのですが、
いま読むと、当時よりは啓造の心情が分かる気がしました。
うーん・・・でも、やっぱり夏枝と村井は理解できないです。身内にいて欲しくない。



2011.09.15 *Thu*

【小説】井上夢人「メドゥサ、鏡をごらん」

メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)
(2002/08/09)
井上 夢人

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(あらすじ)
作家・藤井陽造は、コンクリートを満たした木枠の中に全身を塗り固めて絶命していた。傍らには自筆で「メドゥサを見た」と記したメモが遺されており、娘とその婚約者は、異様な死の謎を解くため、藤井が死ぬ直前に書いていた原稿を探し始める。だが、何かがおかしい。次第に高まる恐怖。そして連鎖する怪死。
おすすめ度★★★★
物語は全身をコンクリートに覆われた姿で死んでいた作家、藤井陽造の娘の菜名子
とつき合っているフリーライターの視点で描かれていく。
藤井は他殺の可能性も示唆されたが、自らを「石」とする計画が綴られたメモ帳の存在と、
遺書にも似た紙片がおさめられたガラス瓶がコンクリートから見つかったことから、警察は
藤井の死を自殺だったと断定する。
主人公は藤井が残したメモを元に未完の小説を探し、事件の概要が分かっていくにつれ、
自分の身の周りにも不思議なことが起こり始めます。

ミステリというよりホラー要素の強い作品。
事件の鍵を握る女の子の悲劇の場面は読んでいて辛く感じました。
謎の多い結末には賛否両論あると思いますが、僕は主人公が事件の連鎖を断とうとした
ために、この結末に至ったと判断して納得しています。

2011.09.12 *Mon*

【小説】石持浅海「心臓と左手」


心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)
(2009/09/08)
石持 浅海

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(あらすじ)
小学校六年生の玉城聖子は、十一年前に沖縄で起こったハイジャック事件の人質だった。従姉の勧めで沖縄にある進学校を見学に行った聖子は、那覇空港で命の恩人と「再会」を果たす。そこで明かされる思わぬ事実とは―?(「再会」)。警視庁の大迫警視が、あのハイジャック事件で知り合った“座間味くん”と酒を酌み交わすとき、終わったはずの事件はがらりと姿を変える。これが、本格ミステリの快楽だ!切れ味抜群の七編を収録。
おすすめ度★★★
『月の扉』に登場した警視庁の大迫警視が、かつてテロ事件で探偵役
として活躍した一般人の座間味くんに、表向きは解決済みとなっている事件
について話を持ち込み、座間味君が真相を言い当てるというスタイルで綴ら
れた短編小説です。

事件を起こすのがテロリスト、過激派、新興宗教、環境保護団体など一風
変わった人たちで、座間味くんが彼らの犯罪心理をどう推理するのかが
見どころ。解決したかに思える事件も、別の方向から光をあてることで
全く違う形になるのが面白い。
僕は表題作の「心臓と左手」の推理が気に入りました。

ただ、それぞれの短編の始まりが、全て大迫警視が座間味くんを食事に誘う
ところから始まり食べ終わる頃に話が終わるという1パターンなので、
読んでいてくどく感じました。雑誌連載時はそれでよかったんでしょう
けどね。

座間味くんの推理を聞いた大迫警視の反応が「それが警視の感想かよ~」
と、つっこみを入れたくなるようなもので、なんとも可笑しかった。

2011.09.09 *Fri*

【小説】東野圭吾「容疑者Xの献身」


容疑者Xの献身 (文春文庫)容疑者Xの献身 (文春文庫)
(2008/08/05)
東野 圭吾

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(あらすじ)
数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか
おすすめ度★★★★★

東野圭吾の人気作品、探偵ガリレオ・シリーズの初の長編で映画化もされた
直木賞作品です。発売直後に読んで、映画も観ましたが、最近古本屋で文庫本を
見つけたので再読しました。

この作品の1つの見所は、まさに純愛というような数学教師、石神の献身ぶり。
他人のためにそこまでできるのか!?というようなことを石神本人はある理由から
それが当たり前のこととして実行しています。
また、石神とガリレオ湯川先生、草薙刑事と湯川先生の深い友情も描かれています。

もう1つの見所として、本格ミステリ作品としても驚きの仕掛けがされています。
初めて読んだ時には、「ええっ!」と思わず声が出ました(笑)
真相が明かされるラストシーンは悲しく切なくて重く心に印象に残っています。

特設サイトで東野圭吾さんと福山雅治さんの対談が掲載されています。
http://www.bunshun.co.jp/galileo/yougisha-x/

これだけ凄いトリックですから、てっきりトリックを考えてから、人物やストーリー
を考えたのかと僕は思っていたのですが、著者によれば、
『主人公のキャラクターを決めてから、それにふさわしいトリックを考えた』
のだそうで、意外でした。


2011.09.06 *Tue*

【小説】石持浅海「攪乱者」


攪乱者 (ジョイ・ノベルス)攪乱者 (ジョイ・ノベルス)
(2010/04/15)
石持 浅海

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(あらすじ)
コードネーム『久米』『輪島』『宮古』のテロリスト三人。彼らは一般人の仮面をかぶりながら、政府転覆をめざすテロ組織の一員である。組織は、暴力や流血によらない方法で現政府への不信感を国民に抱かせようとしていた。彼らに下された任務は、組織が用意したレモン三個をスーパーのレモン売り場に置いてくるなど、一見奇妙なものであった。任務の真の目的とは何か。優秀な三人の遂行ぶりが引き起こす思わぬ結果とは。テロ組織の正体は。そして彼らの運命を翻弄していく第四の人物の正体は―。
おすすめ度★★★

政府転覆を目論む組織の『細胞』と呼ばれるテロ実行者達が主人公ですが、
テロとは言っても暴力的なものではなく、彼らの任務は、用意されたレモンを
スーパーの売り場にあるレモンと入れ替えるなど、間接的に世の中を攪乱する
というもの。

任務内容に疑問を感じる彼らに謎の男、串本がヒントを与える形式で各任務の
話が短編小説のように進んでいくと、やがて彼らの関係に変化が生じます。

随所に石持節ともいえるような、無理やり感を感じてしまいましたが
それもほほえましく思えました。ラストはシュールであっさり・・・。

2011.09.06 *Tue*

【小説】井上夢人「プラスティック」


プラスティック (講談社文庫)プラスティック (講談社文庫)
(2004/09/14)
井上 夢人

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(あらすじ)
謎と恐怖のスパイラル 「私」の存在が崩壊する。54個の文書ファイルが収められたフロッピイがある。冒頭の文書に記録されていたのは、出張中の夫の帰りを待つ間に奇妙な出来事に遭遇した主婦・向井洵子が書きこんだ日記だった。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線となる! 謎が謎を呼ぶ深遠な井上ワールドの傑作ミステリー。

おすすめ度★★★★
ネタバレせずに説明するのが難しい作品(笑)。
フロッピィディスクに入っている54のファイルをパズルのように組み立てて
いって完成するストーリー。
登場人名が多くてややこしいですが、誰がなんと言ったか整理しながら読んで
いくと楽しめます。半分くらい読むと大体の全体像は分かってしまうのですが
最後にもう一捻りあり、これしかないという終結の仕方で読後感がよいです。

叙述トリックも巧くて、ネタが分かった上で読み返しても楽しめます。
タイトルがなんでプラスティックなのかは全く分かりませんでした。

2011.09.03 *Sat*

【小説】貴志祐介「クリムゾンの迷宮」


クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
(1999/04)
貴志 祐介

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(あらすじ)
藤木はこの世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を覆う、深紅色の奇岩の連なり。ここはどこだ?傍ら携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサムゲームの始まりだった。綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く傑作長編。

おすすめ度★★★★★
貴志祐介ファンになるきっかけとなった作品。
読み始めたら止まらなくなります。

内容は、迷宮に集められた数人の男女がそこから抜け出すために襲い
来るモンスターから逃れ、生きて迷宮からの脱出を試みるというもの
ですが現実的ではないけど非現実的過ぎもせず、リアリティ加減が絶妙
で話に惹きこまれました。極限状態の人間が人間でなくなっていく描写
の怖さは貴志祐介ならではです。

1990年頃に流行っていたゲームブックというものをご存知でしょうか?
読者の選択によってストーリーの展開と結末が変わるように作られた、
本で楽しむRPGのようなものです。本作では、ゲームブックをモチーフと
していて、次のようにゲーム主催者から情報が与えられるシーンがあります。

『サバイバルのためのアイテムを求める者は東へ、護身用のアイテムを
求める者は西へ、食料を求める者は南へ、情報を求める者は北へ進め』
9人のメンバーは4つのグループに別れ行動することになり、結果的に
この選択が重要な意味を持ちます。

僕なら護身用アイテムと情報で迷うと思いますが、
貴方ならどのルートを選択しますか?

2011.09.02 *Fri*

【小説】飯田譲治・梓河人「Gift」


Gift (講談社文庫)Gift (講談社文庫)
(2007/06/15)
飯田 譲治、梓 河人 他

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(あらすじ)
病院で目覚めた由紀夫は自らの記憶を失っていた。どうやら彼は消えた51億円の行方を掴んでいるらしく、周囲には謎の女社長・奈緒美ら怪しげな面々が。奈緒美の考案で、頼まれたものは何でも運ぶ「届け屋」となった由紀夫。果たして彼は、失くした過去を取り戻せるか。ミステリータッチで描く感動のストーリー。

おすすめ度★★★★
飯田譲治脚本により1997年に木村拓哉主演で放送されたドラマ
が小説化されたものです。図書館で見つけて10年ぶりくらいで
再読しました。

『赦す。可能性を信じる。蘇生を信じる。』が本作のテーマ。
主人公は記憶喪失になった後、自分の足が異常に速いこととモノ
を届けることに使命感を感じることに気づいて届け屋となります。
いろいろなモノを届けるうちに過去をとり戻していくが
記憶が蘇った時に待っていたものは・・・。

脚本家・映画監督として名高い飯田さんの作品だけあって
文章が映像的で疾走感があります。登場人物が個性的で作品
の空気感は石田衣良さんの『池袋ウエストゲートパーク』
に近い感じ。

主人公がバタフライナイフを扱うシーンが多く登場するのですが、
ドラマ放送後にバタフライナイフを使った少年事件が起き、放送
自粛により未だに再放送されていません。

久しぶりに『NIGHT HEAD』シリーズも読み返したくなりました。

2011.09.01 *Thu*

携帯クリック保証広告サービス「アドカボ」

アフィリエイトサイトを運用されている方はどんな広告を貼っているでしょうか?
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2011.09.01 *Thu*

【小説】石持浅海「扉は閉ざされたまま」

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
(2008/02/08)
石持 浅海

商品詳細を見る

(あらすじ)
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まった。当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か?部屋の外で安否を気遣う友人たち。
自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった…。

おすすめ度★★★★★
石持浅海さんの代表作。登場人物の共通点は大学の軽音部員だったことと、
ある思想を持っていること。(ネタバレになるので詳細は伏せます)

リーダー的存在である伏見は殺人を犯した後、誰も現場に立ち入ることができ
ないように扉を閉ざす。そして自ら探偵役を引き受け、他の登場人物が事件を
解明できないようにミスリードを誘導する。
それは自分の犯行であることを隠すだけでなく、ある目的を果たすためだった。

現場に誰も立ち入ることができない状態で仮説を重ねながら推理していく
スタイルの作品。真実にたどり着かないように、もっともらしい仮説を立てる
伏見と頭脳明晰な優佳の対決が見ものです。

肝心の殺人の動機は、僕には理解し難いものでしたが、優佳にするどい指摘
を受けるたびに、伏見の嘘がいつバレるかとハラハラどきどき。
碓氷優佳は続編の『君の望む死に方』にも登場します。

タイトルが似ている岡嶋二人さんの『そして扉は閉ざされた』と読み比べてみる
のも面白いです。


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miyatt1978

Author:miyatt1978
1歳の1児のパパで30代のサラリーマンです。
画像編集によるデジタルスクラップブッキング作成、読書(ミステリ小説)、ギター演奏(ジャズ、フュージョン、ポップス、ロック)が趣味です。コメント、リンク歓迎です。



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